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本を選ぶ

「知ってる」ということが、価値あることという世の中になってきたような気がします。「あぁ、知ってます」と口癖のように軽く言ってしまうことが近頃増えてきました。本当に意味をわかっているのではなく、聞いたことがあるというだけなのに、「知ってる」なのです。その情報源はほぼネット。情報に頼っているし、それを得ることだけに力を注いでいることがあります。

 

ちぇすなっとは古本屋ですが、本は買取りではなく、1冊ずつ選書して仕入れています。毎月数百冊の本を新たに仕入れるには、ネットの情報は重要です。ですがそこに頼りきると、これはちょっとという絵本も仕入れてしまったりします。毎年すごい数の新刊絵本が書店にならび、同時にたくさんの本たちが本屋から消えていきます。消えたといっても決しておもしろくないからではなく、人気が続かなかっただけで、子どもにぜひ読んでほしい宝石のような絵本はたくさんあります。そして同時に、新しい本の中にも、魅力的な物語や、驚きの発想の絵本が毎年確実にでてきます。そんな中で一体どの絵本をちぇすなっとの本棚に置けば、お客さんに喜んでもらえるのか・・・。

 

お店にいると、「○○という本ありますか?」とよくお客さんから尋ねられます。

知っている本ですと、とてもうれしい。

知っているけど入手できていない本の時は、とても残念。

まったく知らない本の時は、残念な反面、本好きとしてわくわくします。

お客さんからの「情報」はネット以上のものがあります。ちぇすなっとにくるお客さんが「欲しい」と思っている本であるなら、がぜん探す意欲も湧いてきます。どうしてそこまでその本が欲しかったのか、考えるきっかけもできます。

 

少しでもいい本を選ぶため、ちぇすなっとに置いてある絵本はすべて読むことにしています。絵本以外の本は間に合っていない本もたくさんありますが、絵本だけは、読んでいない本は棚に置いていません。ネットでいろいろ検索して、情報を得るよりも、じっくり読んで絵本を心に残していくことが、さらにいい本と出会う近道だと感じています。まずは1冊ずつ、確実に読み込んでいくことで、本当にいいとおすすめできる本、お客さんに必要とされている本が並ぶ絵本屋を作っていけるのかなと思っています。

 

オープンから今まで、訪ねていただいた本、いろいろと入荷しています。入荷してもすでに売れてしまったものもありますし、ずっと探しているけれどなかなかみつからない本もあります。

当店にお越しの際はぜひ、「〇〇という本ありますか?」と再度訪ねてみてください。