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ちいさな奇跡

ちぇすなっとでは、乗り物絵本、昆虫絵本、科学絵本、昔話絵本など、一部の絵本はジャンルを分けて並べています。その他大半の絵本がそのジャンルには入りません。残りたくさんの絵本をどうやって並べるか。絵本屋を初めて1年と半年ほど、ずっとこの絵本の並べ方について探ってきました。これがムズカシイのです。そして楽しくてしかたないのです。

 

作家別、出版社別、タイトルあいうえお順、大きさ別に並べるのではないとしたら、テーマ別という並べ方もあります。ちぇすなっとでは、「絵を描く」「森」「身近な自然」「おいしい」「ナンセンス」「やさしい」「ライオン」「王様」「冒険」「考える」など、心の中でテーマを決めて、本棚の枠ごとにそのテーマに沿った絵本を並べていたりもします。

 

テーマで並べず、なるべくランダムに、でもどこか繋がっているという並べ方も、OPEN当初からさぐっている並べ方です。セレクトショップなどにいくと、とてもわくわくする並べ方でさまざまな本が自然につながりあっていたりしますが、はたして絵本だけでもそれがなりたつのか。この絵本を読んだ方はあの絵本も好きかもしれない、では隣はこの絵本にしてみよう、そんなことを考えながら、1冊1冊隣り合わせて並べています。

 

今のちぇすなっとの本棚は、テーマ別の箇所もあれば、ある作家さんの小さなコーナーを作ったり、1冊ずつ連動する本をつなげて並べているところがあったり。そのバランスをさぐっているところです。自己満足になりすぎず、お客さんが選んでいて楽しくなる本棚、この本読んでみたい!とわくわくする本と出会える本棚をめざしています。

 

1冊1冊連動させて並べている本の中に、すっと1冊の本を差し込んだ時、その本がいつもより輝く時があります。そうやって朝差し込んだ1冊の本が、その日のうちに買われていくことがあります。それがOPEN当初から1年半ずっと売れずにお店に残っていた本だったりすると、心が騒ぎます。1年半売れなかったのに、置く場所を変えた途端に買われていった!本屋のうれしい瞬間です。ちいさな奇跡のような出来事です。

 

だから本には誰かに見つけてもらうための、その本にとってのベストな場所があるのだと思うのです。ネットで本を選ぶのとは全く違う、本選びの楽しさを感じてもらえる本棚をこれからもさぐっていきたいと思っています。

先は遠く、まだまだです。