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中桟の話し

「中桟」と書いて「なかざん」と読みます。

窓や扉などの建具のちょうど中央に横に通っている桟のことです。

 

ちぇすなっとでは毎月「イガグリ」というフリーペーパーを発行しています。その中で店内の建具や木材、設計のあれこれについての話を毎月紹介しています。今月号の18号ではこの「中桟」について取り上げました。今回はブログでもそのお話しをしたいと思います。

 

ちぇすなっと入口は両脇を2つの大きな窓に挟まれ、入口の扉が斜めL字型に作られています。その窓と入口扉の中桟は同じ高さで統一されています。

施工当初、この中桟の高さは少しずれていました。現場で確認した際に高さが違うと違和感があるということになり、2つの窓枠をすべて最初から作り直すことにしたのです。

ちぇすなっとがオープンしたのは2020年3月12日。

2019年の10月に店舗の契約が成立し、設計が始まり、12月からの3ヶ月弱の内装工事を経て、最後の約1ヶ月は本を運び込んだり、お店の備品を並べたり、ばたばたの日々を過ごしていました。そんな中、やはり窓枠は作り直そうということになり、オープンまであと5日に迫った日、建具屋さんが大急ぎで作り上げたピカピカの窓枠を運び入れ、設営工事が始まりました。写真はその時のものです。現場でさらに木枠を削るなどして調整し、半日ほどで新しい枠が設置されました。

 

中桟の高さの違いはほんの数センチでしたので、そのままでも良かったのかもしれません。それでもこのように高さを整えたのは、その建物を見る人や使う人の心地よさを追求してのことでした。それは海の水平線を美しく感じる感覚に似ているのかもしれません。どこまでも同じ高さが連続していくことで美しさを感じるように、建築の世界では高さを一定にすることに重きをおいていると、私は建築を勉強したことはありませんが、側から見ていて感じます。

 

例えばちぇすなっと入って右の本棚は72cmの高さのところに分厚い板が一本通っています。この高さは、その奥につながるカフェコーナーのカウンターの高さと同じになっています。ですので、建物の中に入ると奥まで一つながりの板を見渡すことができるのです。たったこれだけのことですが、これも心地よさを作り出すことにつながると考えているのです。

 

ちぇすなっと店内のカフェテーブルに座ると本棚や窓枠、扉が順々に気持ちよく目に飛び込んできます。時々お客さんの気持ちになって座ると居心地の良さを再確認します。統一された高さによる気持ちよさも、設計上の理論ではなく、本当にあるかもしれないと、整えられた木の枠をながめながら思ったりもするのです。

 

 

**フリーペーパー「イガグリ」は、毎月1日より店頭にて提供しています。なくなり次第終了します。