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1さいの本棚

手にしたものを、自分の思うように動かせることがうれしい1才。

行きたい所に自分の足で歩いていけることがうれしい1才。

絵本を読んでも、ページをめくることができるのがうれしくてたまらない1才。

 

せっかく絵本を読み始めても、どんどんページをめくってしまったり。絵本を聞いていたと思えば、次の瞬間たったっとどこかへ行ってしまったり。それでも、いつのまにかとなりに戻って来て、膝に顔をのせていたり、聞いてなかったはずの絵本の言葉をふとした瞬間に口にしたり。

座って聞くことだけが絵本ではないと思い知らされます。

 

1才の子どもを見ていて特に感じるのは、この時期、子どもが絵本に親しみをもつことの大切さです。

1冊でも、2冊でもいい。自分の家にある、「自分の絵本」というのは、親しみ方が違います。自分のものだからこそ、安心して接することができて、その他の絵本とは別格の楽しみ方ができます。図書館で何度も借りた絵本とも、自分の絵本は、別物です。だから子どもの好きな絵本は1冊でもいいから、家にあると、何か特別な気持ちや関わりが生まれると私は思っています。

何度も見て、手にとって、時には噛んで確かめて、自分でページをめくって、何度も読んでもらった自分の絵本への愛着は、計り知れません。

 

 

我が家の息子の場合は、1才は絵本に慣れ親しんだ時期でした。物語絵本を読む前の準備段階のようだったと今となっては感じます。絵本は大好きでしたが、じっと聞いていることはほぼありませんでした。それでもそれなりに楽しそうで、私も好きだったので、いつも読んでいました。

 

そんな1才の息子に、どんな絵本を読んでいたか。

息子の場合、絵本選びで特に大切だと感じたのは次の3つの要素が1つでもあてはまる絵本でした。

主人公に共感できる絵本。遊びが生まれる絵本。物語が聞こえてくるような絵で描かれた絵本。

 

主人公の存在は大切です。その主人公にひょいと気持ちをのせたくなるかどうかが重要でした。大好きな車が主人公の絵本だとしても、問題は息子自身がその車に気持ちを乗せたくなる主人公かどうか。その主人公の性格というよりは、いかにわかりやすく描かれていて、気持ちを乗り入れる道筋がしっかりしているかが重要でした。

 

遊びの要素がある絵本というのは、その絵本が意図してなかったとしても、自分たちで遊べる絵本。絵本から勝手にスキンシップなどの遊びが生まれることが大切でした。「こちょこちょ」とくすぐるシーンがあって、いっしょにくすぐったり、「これはみみ」という文があったら、そのページでは息子の耳をさわったり。

ちょっとしたことですが、この絵本を読むときはこの動きと、お決まりができることで、いつも繰り返す遊びが楽しみになりました。子どもって本当に飽きません。繰り返すことで、むしろわくわくが高まっていきました。

 

息子は言葉よりも絵に強く惹かれるようです。大好きな絵はそれはよく集中して見ていました。といってもすぐに動いてどこかへ行ってしまうのですが。じっと見ることをしない息子なので、一瞬「見た」だけです。それでも絵本の絵にはすごい力があるのだと、驚かされました。

 

1才で絵本をじっとを聞くのは難しいかもしれませんが、その子がどんなことに興味をもったかは、絵本を読んでみると、身近な大人には伝わるかと思います。他の本とちょっと反応が違うなという本が、たくさん読んでいると見えてきます。子どもはそれぞれです。動物に反応する子、音や言葉の心地よさに反応する子、食べるものに反応する子、絵に好みがある子、たくさんのものがきれいに並んでいるのが好きな子。

 

成長と共に、好きなものもどんどん変わっていく時期。子どもの見る世界もぐんぐん大きくなって行きます。ぷいっとそっぽを向いた本が、数ヶ月後に大好きになっているということも、大いにありえます。

 

物語絵本に突入する前の、絵本が大好きになっていく時期。

1才のお気に入りの絵本は、もしかすると6才でも7才になっても好きな絵本です。息子も、小さな頃に読んだ絵本を、今でも時々ひっぱりだしてきます。長い物語絵本の合間に、そうした思い出いっぱいの1才向けの絵本を読むと、私も心が軽くなり、少しうれしくなります。

そんな絵本に、出会って欲しいなと思います。