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誰かの家の本棚のような

誰かの家におじゃました時は、失礼のない範囲で本棚を眺めます。この時間がとても好きです。

誰かの家の本棚は、なんとなく同じ雰囲気をまとった本が並んでいる気がします。たとえ無作為に並べてあっても、大きなまとまりを感じます。本がそれぞれ似通っているのではなく、その本棚の主人が選んだ本というだけで、その人を通して関連が生まれているからだと思います。だからすでに知っている本だとしても、その本棚にあるだけで新しい視点を感じ、手に取りたくなるのではないでしょうか。どこかにつながりがあって、そのつながりが見えた時、その本が改めて気になる、そんな気がします。

 

絵本屋として、本棚に本を並べる場合、やはり探している本をすぐに見つけられるというのも大切な要素となるので、シリーズもの、同じ作者のもの、数箇所ではありますが、まとめて並べたりもしています。でもいつも追求したいと思っているのは、その誰かの家の本棚のような、ゆるやかで気になるつながりのある本棚なのです。

 

ちぇすなっと入って左の絵本棚は洋書をびっしりと並べていました。数ヶ月前、四角く区切られた各スペースに1冊ずつ表紙を見せて贅沢に並べるという本棚に変更しました。そして今回は、引き続き表紙を贅沢に見せつつも、その一部はびっしり並べた本棚へと変更しました。本の種類も絵本だけでなく、児童書や暮らしの本、自然科学の本、詩集などもおりまぜています。

 

この本棚には毎回裏テーマがありまして、明確に表記しないことで、手に取った人が自由にその繋がりを感じてもらえたらと思っています。

表記しないと言いつつ、ここで伝えてしまうと、今回の裏テーマは「独りの時間を過ごす女の子」。

子ども時代は友達と遊ぶ時間もあれば、独りで過ごす時間もあって、その独りの時間に感じたことがその子の人格を作っていったり、自分の意見が熟成されて自信がついたり。とても大切な時間だと思います。それは大人になっても変わらないことで、特にインプットの多い今の時代は、入って来たものを自分の中で咀嚼する時間として、独りでいる時間は貴重だと思います。そんな独りの時間を過ごす物語や、文面や絵などから独りの大切さを感じさせてくれる本を選んで並べています。「女の子」と書きましたが、それが男の子になることもあれば、おばあさんになることもあったり、人ではない植物の場合もあったりします。

 

伝わる人にはうずうずと伝わるような、あるいは想像を膨らませることができるような、そんな本棚にできたらと思っています。今後も頻繁に変化させていくつもりですので、ぜひ気になる本があれば手にとって見てください。

今後の裏テーマは秘密ですので、想像にお任せします。

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棚かえました 2022.01.21